新卒で就職活動するとき、ほとんどの人は正社員を目指します。
しかし、なかなか就職活動がうまくいかなくて、派遣でも派遣会社に正社員として雇用される正社員型派遣という働き方に魅力を感じている人はいるのではないでしょうか?
果たして、新卒で正社員型派遣を目指すのは良い事なのでしょうか?
この記事では、新卒で正社員型派遣を選んだ僕が、新卒で正社員型派遣になることのメリットとデメリットについてお話していきます。そして、正社員になるまでの道のりについても少し触れたいと思います。
この記事を読むことで、新卒で就職活動するとき、正社員を目指すべきか、それとも派遣という道を選ぶかの参考になるでしょう!
新卒で正社員型派遣を選択した理由とは?
僕がなぜ新卒で正社員型派遣を選択した理由は次の2つです。
・正社員で専門分野に特化して仕事が出来る
・正社員なのに面接が楽だった
僕は化学系の大学を卒業しており、当時は食品や医薬品の分析業務、研究開発の仕事を希望していました。
そのため、食品メーカーや医薬品メーカーを中心に就職活動していましたが、面接で落ち続け、就職活動が上手くいかないまま時間だけが過ぎていきました。
そんな中、化学分野に特化した正社員型派遣会社の存在を知ったのですが、どうしても派遣というイメージが悪すぎて、面接を受けるのを躊躇していました。
それでも、就職活動の焦りで、滑り止めのつもりで説明会と一次選考を受けたのですが、自分の得意分野に特化して働けるうえに、派遣会社の正社員としての雇用で安心ですよという言葉にすっかり、正社員型派遣に対する壁が取り除かれていました。
派遣会社からあっさりと内定をもらい、他の企業の面接も残っていたのですが、これ以上就職活動するのもだるくなったので正社員型派遣の道を選びました。
なにが言いたいかというと、企業の面接よりも正社員型派遣会社の面接の方が圧倒的に簡単でした。
実際に派遣会社に入社して同期と話をすると、ほとんどが就職活動で上手くいかなかったときの最終手段でした。
・正社員で専門分野に特化して仕事が出来る←建前
・正社員なのに面接が楽だった←本音
正社員型派遣のメリットとは?
雇用条件がしっかりしている
実際に僕が入社した派遣会社(今は統廃合されて別会社で存続中)の雇用条件通知は以下の通りでした。
基本給 | 205,000円 |
職務手当(派遣先で業務していた時のみ支給) | 10,000円 |
通勤手当 | 最大30,000円 |
資格、家族,赴任手当 | 有 |
家賃補助(借り上げ社宅のみ) | 会社:従業員=6:4で負担 |
社会保険(厚生年金、健康保険、介護保険) | 有 |
雇用保険 | 有 |
昇給 | 有 |
賞与(年2回) | 有 |
退職金(3年以上在籍者が対象) | 有 |
派遣といえども、派遣会社の正社員なので雇用条件はしっかりとしています。
普通に昇給、賞与、退職金制度もあったので、雇用条件だけですと普通の正社員と大きな違いはありません。
僕は2009年4月1日~2012年4月3日まで在籍していましたが、昇給、賞与、退職金はそれぞれ有りました。
また、家賃補助(借り上げ社宅のみ適応)があったのは、かなり大きかったです。
今の会社は家賃補助がないので・・・。
派遣の仕事がなくても給料は出る
派遣の仕事がなくても給料は出ていました。(基本給満額)
一般派遣の場合、派遣先との契約が終わると派遣会社との関係も終わるので、給料は勿論発生しません。
一方、正社員型派遣の場合は、正社員として派遣会社に雇用されているので、派遣先が無い期間は、派遣会社の営業の人と今後の打ち合わせや面接の練習、スキルアップ学習に充てていました。
正社員型派遣のデメリット
就業先、職種を自分で決める事が出来ない
一般派遣の場合、派遣会社で募集している求人を見ながら自分で選ぶことが出来ますが、正社員型派遣の場合、派遣会社の命令に従う必要があります。
正社員型派遣の場合、基本的に営業の人と面談を繰り返しながら、希望にあう派遣先を探してくれます。
しかし、派遣会社からすれば、正社員型派遣社員が派遣先で働いてもらわないと、会社として利益が発生しないどころか、給料を支払わないといけないので大赤字になります。
実際の就職先
派遣先 | 就業場所 | 業務内容 |
コールセンター | 北海道札幌市 | 諸事情により就業前に契約破棄 |
派遣元会社事務 | 福岡県北九州市 | 電話対応、契約書類整理、給料計算等 |
自動車部品メーカー | 京都府 | ライン作業 |
半導体洗浄メーカー | 富山県 | 半導体洗浄装置の品質検査 |
半導体製造メーカー | 富山県 | 半導体製造装置の部品受入検査 |
当時は、北海道、京都(市内ではない)、富山なんか行ったこともなく、しかも化学の仕事では無かったので、精神的にかなりしんどかったです。
実際に自分の希望と異なる仕事を断ることも出来ましたが、正社員として派遣会社に所属しているので、社内の立場は悪くなり、今後の仕事を紹介してもらえずに放置され、退職へ追い込むことも考えられたので、指示に従うことしか出来ませんでした。
派遣先が決まっていない社員は、本人の希望をよりも、派遣会社が抱えている求人の中から、派遣契約するのが優先されます。
しかも、全国問わずです!
結論をいうと、僕は化学系の仕事に就きたかったのですが、3年間一度も化学系の仕事に携わる事は出来ませんでした。
当時は、リーマンショックの影響で就職氷河期の時期でしたので、とにかく求人がなくまったく別の業界の仕事しかありませんでした。
その結果、僕は化学のスキルアップすることなく、全国各地を転々としただけで、正社員型派遣社員を辞めることになりました。
転職活動が非常にやりにくい
新卒で正社員になれなかった人というレッテルを張られる
就職活動をするときに、ほとんどの人は正社員を目指しますよね?
それなのにわざわざ派遣を選択するという考えは、なかなか理解されません。
「正社員になれなかったから派遣をやっていたんだろ?」
という面接官の感情をものすごく感じていました。
新卒で正社員を目指すというのは強制ではないのですが、日本人はほとんどが共通認識としてあるので、新卒で派遣ということに対して厳しい目で見られます!
「なんで新卒で派遣をやっていたのですか?」
これは面接の一番最初に聞かれる質問の第1位でした。
職務経歴が乱雑になる
正社員型派遣社員は、派遣会社の命令に従うことになるので、専門分野に特化した仕事が出来ている人は問題ありません。
しかし、僕みたいに会社都合で専門外の仕事を転々とすると、職務経歴が乱雑になり、書類審査のでスキルをアピールする事が出来ず、「職を転々としていた人」という評価にしかなりませんでした。
僕の場合、正社員型派遣を辞めた後は、化学系の仕事で一般派遣、紹介予定派遣をやっていたので、なんとか軌道修正して説明出来ましたが、少なくとも、職歴に統一性をもたせないと非常に厳しい転職活動になるでしょう。
今は化学系の品質管理で正社員として働いていますが、正社員型派遣時代から紹介予定派遣まで、業種は違えど品質管理の仕事をしていたので、品質管理という部分で統一性は保てていたのが幸いしました。
経験者が思う新卒で正社員型派遣は良いのか悪いのか?
新卒での正社員型派遣のメリットとデメリットについてお話してきましたが、経験者の立場でいうと、正直な話、お勧めできません!
スキルがある人は色々なメーカーで長く勤める事が出来ますが、スキルが無い人が安易に正社員型派遣を選択すると、その場しのぎでよくても必ず痛い目にあいます!
運よく、専門分野の経験を積み続けると、転職に大きな影響はないかもしれませんが、派遣会社や求人状況の影響で配属先や業種を転々としてしまうと、雇用は安定でもスキルアップや転職を視野に入れると不安定な働き方になります。
新卒はなんだかんだいって正社員になれる可能性が一番高いので、強力なスキルがなければ、わざわざ強力な武器を捨てて、茨な道を歩む必要はないでしょう。